インプラント症例ブログ その1
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.治療計画
4.インプラント埋入手術前の準備
5.インプラント治療の詳細
6.インプラント埋入後の経過
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
8.メンテナンスと経過観察
9.まとめ
1.はじめに
奥歯のインプラント単独歯欠損治療について記させていただきます。
インプラント治療における半数以上の患者様は、1本欠損にあたるのです。
インプラント治療は埋め込み手術をした後、歯が入るのが数カ月先になることごぞんじでしょうか?
それについても解説していきます
2.症例紹介
今回は右上第一小臼歯及び左下第二大臼歯各1本欠損をインプラント治療で咬合回復した症例です
患者 28歳 女性
初診 2018年 11月
主訴 右上奥歯と左下奥歯がなくなり咬みずらい
現病歴 2017年頃歯の根が折れたことにより、他歯科医院にて右上小臼歯及び左下大臼歯ともに抜歯
その後歯を入れることなく当院来院
口腔内所見 プラークコントロールは良好 右上親知らずの根だけ残る
歯のすり減りが確認されるため、かみ合わせが強いあるいは就寝中の歯ぎしりが考えられる
右上一番奥の歯が、かみ合わないため挺出がみられる
といった所見がみられます
3.治療計画
患者様との話し合いの上、部分入れ歯やブリッジが気に入ってくれなかったため、インプラント治療を選択しました。その後CTレントゲンを撮影しました。
治療方針としては、欠損歯となった原因が歯根破折のため、上部構造物(インプラント上のセラミック冠)の咬合接触、並びに夜間ブラキシズムの防止に注意をはらうようにしました。そのため就寝時使用のマウスピースを、セラミック冠装着後使用してもらう予定にしました。
軽度の歯周炎とはいえ,プラークコントロールが不十分な状態のため、インプラント治療を行う前に、歯周病の初期治療から始めること、患者に説明を行いました。
右上親知らずの残根は、インプラント埋入後に抜歯することにした。
4.インプラント埋入手術前の準備
上顎奥歯の深い所には上顎洞という副鼻腔があります。副鼻腔内に炎症がみられるとインプラントの埋め込み手術が難しくなります。これを正確に診断するには、CTレントゲンが必須になるのです。副鼻腔内に炎症があるとCT上で本来黒くみえるところが白く写ってきます。この患者様は問題なく黒くみえました。
また下顎に関しても埋め込んだインプラントと下顎骨の中を走る動脈や神経の解剖学的位置関係が重要になります。インプラントを埋め込む窩洞を形成する際、動脈や神経に接触すると、術後の出血がひどかったり、知覚の異常がしばらくでたりすることもあります。これらの可能性もなく、上顎下顎ともに解剖学的な大きな問題はない状況でした。
5.インプラント治療の詳細
またインプラント治療に際しては、通常歯周病治療を優先させます。その理由としてインプラントは本来の歯よりも歯周病に罹患しやすい傾向があるのです。つまり口腔内の歯周病菌の数を極力減らしておきたいのです。
歯周病菌数のコントロールができた後、事前作製したサージカルステントを用いてインプラント埋入オペに臨みました
埋入手術は、短時間に問題なくおわりました
骨との接触安定も良好でした
サージカルステントを使用したため、インプラントは理想の位置に埋め込むことができました。
口腔内全体を写したパノラマレントゲンでは、右上のインプラントが近めに位置していますが、それはこのレントゲン写真特有のゆがみが原因で、実際は正中に位置しています。左下インプラントが傾斜して見えるのも同様です。
6.インプラント埋入後の経過
インプラント埋入手術をした後、すぐに歯を立てない理由について。
インプラントはネジ状の形態をしており、埋め込み手術時に骨に食い込むので機械的安定性がでます。
その後、細胞レベルでインプラントの表面と骨がくっつきます。これを生物学的安定性とよびます。
機械的安定性が生じた後は、破骨細胞という骨を溶かす細胞が、埋め込んだインプラント周囲骨を吸収させます。それが時間の経過とともにすすんでいくため、機械的安定性はおちてゆくのです。それと同時に骨芽細胞という骨を新たにつくる細胞が、インプラント周囲に張り付き新たに骨をつくり生物学的安定性を生じさせます。少々わかりずらいかもしれませんが、インプラント周囲では骨の破壊と新生が同時に起こるのです。これを専門用語で骨のリモデリングといいます。
骨の吸収はいずれ終わり、その結果新生骨でインプラント周囲がおおわれて強固な結合に至るわけで、ここまでに数か月かかってしまうのです。一般的に総安定性が一番下がるのは埋め込み手術後2週間といわれています。ですので術後3週間以内は患部の安定が大事になります。
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
今回の症例では、3カ月間待機することで、生物学的安定性を獲得し、その後歯肉の下に隠れたインプラントの頭出し手術(2次オペ)を行い、切除した歯肉の治癒を待ってから型採り,咬合確認等を行いました。
その後 清掃性 発音 咀嚼 咬合等を十分確認の上セラミック冠を装着しました。
8.メンテナンスと経過観察
セラミック冠装着後は、2カ月毎にメンテナンスで来院してもらっています。
その後15年以上経過しました、口腔衛生状態に注意を払いながら経過観察しています。
就寝時使用のマウスピースは、続けて使用してもらっているためセラミックの破折等もみられません。
インプラント治療により、周囲の歯に対して余計な負担を与えることなく口腔機能の回復を行うことができました。それによりその後歯の喪失は1本もないまま推移しています。
ただインプラントは、天然歯以上に周囲組織の炎症が進行しやすいと考えられるため、今後インプラント周囲炎にならないよう継続的な注意をはらう必要があると考えています。
9.まとめ
今回の症例では、28歳女性の右上第一小臼歯と左下第二大臼歯の欠損に対し、インプラント治療を実施しました。治療計画の立案からインプラント埋入手術、そしてその後のメンテナンスまで、すべて順調に進み、患者の口腔機能は回復しました。
特に、CTレントゲンによる正確な診断やサージカルステントの使用が成功の鍵となりました。インプラント治療後は、2カ月毎の定期的なケアを続けることで、長期にわたる良好な結果を維持し、インプラント周囲炎の予防にも努めています。
インプラント治療を検討されている方は、専門医の指導の下、適切な治療計画と継続的なメンテナンスを心がけてください。インプラントによる口腔機能の回復が、健康で快適な生活を実現できると思います。
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
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パール歯科医院 インプラント症例について
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院長 藤田陽一
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