インプラント症例ブログ その3
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。
私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.治療計画
4.インプラント埋入手術前の準備
5.インプラント治療の詳細
6.仮歯(プロビジョナルレストレーション)でのかみ合わせの確認
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
8.かみ合わせの重要性
9.まとめ
- はじめに
今回は、インプラント治療でのかみ合わせの再構築についてお話させて頂きたいと思います。
2.症例紹介
歯の審美回復と顎関節症を治すために、かみ合わせの再構成を行った症例
(One case that I revived cuspid guided occlusion and made occlusal reconstruction)
患者:43歳 女性
主訴:以前他歯科医院でセラミック治療をしてから、かみ合わせが低くなってしまい顎の関節が痛くなり、音もし始めた。就寝時に歯ぎしりもするようになってしまった。
右下のブリッジも動揺してきて、奥歯でしっかり咬めなくなってしまった。
セラミックで奇麗な歯にしたい。
3.治療計画
かみ合わせには理想型というものがあります。
それは両側奥歯で咬み合わせて横にずらした時、ずらした側(作業側)は犬歯のみあたる。その反対側(平衡側)はあたらない。という咬合様式(犬歯誘導咬合)です。犬歯は他の歯と比べると歯の根が長くて大きい分横方向からの力に強いのです。また下顎を前方にずらした時、同じく当たるのは前歯のみ両側の奥歯は当たらないというのが、理想型です。その理由は後述します。顎関節の症状改善も含めるため、大部分の歯をやり直す治療計画をたて、失われた正しいかみ合わせを再建する方向で治療を開始しました。
ただ実際の口腔内では、歯列不正・咬耗(かみ合わせで歯が削れること)・歯周病の進行・不良補綴物・加齢などにより、理想のかみ合わせである犬歯誘導咬合は消失してしまう傾向が強いのである。本症例患者様は、審美的な希望も含めて大部分の歯の再補綴を希望している。これは犬歯誘導咬合を再構築する、またとない機会といえる。理想のかみ合わせを獲得することで残った歯の寿命が永らえることは言わずもがなである。
4.インプラント埋入手術前の準備
患者様かみ合わせの状態はというと
4本の犬歯がそれぞれ歯ぎしりで削れて背が低くなっている状態で、理想からは大分離れていました。不良なかみ合わせは就寝時の歯ぎしりや食いしばりを誘発します。その結果かみ合わせはますます悪くなり、それがさらなる歯ぎしりや食いしばりを誘発するのです。結果顎の関節にまで影響がおよんでしまうような、マイナスのスパイラルにはまり込んでいる状態といえました。下図のレントゲン写真では左下(向かって右下)にインプラントが2本入っていますが、これは前歯科医院でおこなったものです
5.インプラント治療の詳細
パール歯科医院では、現状ある歯とインプラントを長期間使用してもらうため、プラークコントロールの指導および、歯周病の治療を優先させます。初期治療の一段落後、一番気になされている右下ブリッジの支えになっている歯の精密なレントゲン写真(上図)を撮ると歯の根が割れていたことわかります。歯の周囲の骨も歯の根の炎症が原因で大きく欠損しているように診断できます。この歯は残念ですが抜歯となります。いつまでも残しておくと他の歯まで共倒れしてしまいます。抜歯後は一つ後方のもともと歯の無い所も含め2本インプラントを行う治療を予定しました
抜歯直後にCTレントゲン写真を撮影させてもらいました。抜歯した歯の顎骨の欠損が大きかったので、インプラントの埋め込み手術の前に顎の骨の再建手術を行う治療計画をお話ししました。(下図)
人工骨とコラーゲン製の膜を用いて骨の再建に成功しました。顎の横幅も足りなかったのですが、こちらも同時に回復することができました。(下図)
その後顎骨の治癒回復を待ってインプラントを予定通り2本埋め込み手術を行いました(下図)
術後のCTレントゲン写真です、横方向(頬舌方向)にも良い位置に埋め込みできました。(下図)
6.仮歯(プロビジョナルレストレーション)でのかみ合わせの確認
以前の歯科医院に通院開始時、上下前歯に隙間があったがあったとのこと、審美的に気になったので隙間をなくすように頼んだところ、奥歯を削って背を低くすることで前歯の隙間をなくしたとのこと。それ以降顎関節が徐々におかしくなったということである。奥歯特有の凹凸は削って平らになっている。(下図)
理想のかみ合わせである犬歯誘導とかみ合わせの高さ(咬合高径)を再建回復させるため、まずは奥歯から順に仮歯(プロビジョナルレストレーション)に置き換え、かみ合わせと顎関節の最適な位置を確認しました。
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
仮歯で最適な位置関係が確認できた後順番にセラミックの歯に置き換えていきました(下図)
審美的にも十分患者様には満足していただきました。
8.かみ合わせの重要性について
犬歯誘導咬合とは、歯を咬み合わせた状態から横にずらして止めたときに、上下の奥歯には隙間が空いて犬歯だけが当たっている状態です。 犬歯誘導が行われない咬み合わせでは、奥歯に横方向からの力が強くかかってしまうことで、咬合性外傷と呼ばれる状態を引き起こします。咬合性外傷になると次のような様々な症状が出てきてしまいます。 1奥歯に亀裂が入ったり、割れたりする 2奥歯に知覚過敏や痛みが起こる 3奥歯の亀裂から細菌が入りむし歯になりやすくなる 4歯周病が進んで奥歯がグラついてくる 5顎関節症を引き起こす
このように犬歯誘導咬合ができない患者様は、奥歯の寿命が著しく短くなる傾向にあります。
セラミックの歯で犬歯誘導咬合を再建しました
右側は上下の犬歯の形態的な問題から犬歯・第一小臼歯の2本で支えることになりました
9.まとめ
今回に症例は、インプラント治療でのかみ合わせ回復を実施しました。
お口の中の状態にもよりますが、患者さん自身の本来のかみ合わせを実現するために、レントゲン写真やCTで患者さんのお口の骨の状態確認を行っております。また今回は、事前に人工骨とコラーゲン製の膜を用いて骨の再建を行い、スペース確保をすることで、より理想的な位置にインプラントを埋入することができた症例です。
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
https://www.pearl-dental-clinic.net/subject/implant2/
パール歯科医院 インプラント症例について
https://www.pearl-dental-clinic.net/case/
パール歯科医院
日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医
院長 藤田陽一
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