インプラント症例ブログ その4
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。
私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.口腔内の状況確認
4.治療計画
5.インプラント埋入手術
6.最終補綴(セラミック冠)の装着
7.まとめ
- はじめに
歯周病とかみ合わせの力の強さにより、歯が抜けてしまい物を噛めなくなってしまった患者様のインプラント治療についてお話させて頂きます。
2.症例紹介
咬合崩壊をおこした患者に対してインプラントを用いて咬合再構成をした症例
A case of occlusal reconstruction using an implant for a patient with occlusal collapse
年齢:58歳 男性
初診: 2016年6月8日
主訴 : 咬めるようにして欲しい 顎の左関節が痛い、音が出る
義歯は持っているが使いづらく感じる、ほぼ使っていない
歯科医院に来るのは約10年ぶり
矯正治療は希望しない
歯科恐怖症
メニエール病既往
補聴器使用
3.口腔内の状況
上記口腔内写真より
左右の奥歯でしっかり咬めない状況です。なおかつ以前、他歯科医院で治療したプラスチック歯が変色していますし、むし歯の進行もみられます。
上記レントゲン写真より
全顎にわたり歯を支える骨の吸収がみられます。歯周病が、咬み合わせ不備により加速度的に進行しています。歯根の先に膿の袋がみえる歯もあります
口腔内写真とレントゲン写真から以下問題点を考えてみました
以下さらに詳細な咬み合わせや歯の状態を調べました
下記、歯肉の精密検査です。予想通り歯周ポケットは深めで、出血してきた場所も多数あります。
緑の矢印はむし歯が発見された場所です。紫の矢印は歯根の治療が必要なところです。
4.治療計画
なるべく治療で歯を抜かないようにする予定ですが、抜歯の必要にせまられる歯がいくつかありました。
またかみ合わせと審美性の回復から、仮歯と仮義歯を治療途中で装着する事、患者様と相談しました。
以下は、全ての歯科治療の基本となる歯周病治療結果です。前回と比べ数値的にかなり良くなっています。
歯肉の状態が良くなってから右上と左下の歯を抜歯します。状況にもよりますが、歯肉の状態が良ければ、
その後の治癒も確実になります。
以下、上前歯の審美性と機能性の回復のため仮歯をいれました
その後左下奥歯2本、歯根の治療を行いました。歯根の先の膿の袋も術後6カ月で消失しました
仮歯をより審美性の高いものに置き換えて、咬み合わせの回復も目的とした仮義歯(局部床義歯)を装着しました。
以下、上記仮歯・仮義歯を用いた際のかみ合わせ(咬頭嵌合位)です。今回の症例では顎関節に症状がでているので、これの回復も目指していきます。仮義歯・仮歯はセラミックと違い耐久性はありませんが、歯の形態を簡単に変化させられるので、正しいかみ合わせを回復するのに必ず必要となります。
さらに模型を作製して咬合器というかみ合わせを精密に確認できる装置に取り付け診査します
咬合診査を歯科技工士とともに行い、理想の咬み合わせ理想の歯冠形態を模索して、以下ワックスで新しい歯の形態を作製してもらいます(診断用ワックスアップ)
診断用ワックスアップ作製時ポイントとなるのが、下顎を左右にずらした時、あたるのは犬歯のみ
また下顎を前方にずらした時、あたるのは前歯のみ(アンテリアガイダンス)というかみ合わせをつくる事です。
5.インプラント埋入手術
手術時は、インプラント埋入の位置決めをより正確にするためガイデッドサージェリーで行いました。
以下インプラント埋入後の全顎レントゲン写真と、その後インプラント上に仮歯を入れた状態でCTレントゲンを撮影、局所的に切り取ったレントゲン写真です
前後的にも左右的にも理想の位置に埋め込むことができました
顎関節の症状は時間の経過とともに回復していきました。
審美性を重視した2つ目の仮歯を経てセラミックの歯に置き換えました。
その後8年近く経過しましたが、定期的なメインテナンスのみで問題は起きていません。
6.最終補綴(セラミック冠)の装着
以下セラミックの歯が入った後のレントゲン写真です。
以下は、セラミックの歯を装着した後の口腔内写真です。
銀歯が数か所残っていますが、金属アレルギーを考えて近々セラミックに置き換える予定です。
顔貌写真も下顎のずれがなくなり自然になりました。
7.まとめ
歯の喪失の原因は,細菌と咬合力といわれている. この患者が一番最初に歯を喪失した原因も,歯根破折と考えられる.初診時歯周病の進行著しく動揺歯も複数あり,顎関節症状まででていた.まさに咬合崩壊の末期と考えられる状況である. 本症例のように遊離端欠損歯列になってしまうと,その補綴は部分床義歯かインプラントの選択肢に限られる. 部分床義歯の場合,咬合時の粘膜負担による沈み込みの他,就寝時の未装着状況等考慮すると,顎位のずれが生じやすくなってしまうと考えられる.
今回臼歯部の咬合回復が確実に可能なインプラントで補綴を行い,半調節性咬合器を用いて顎位の回復を探り,その後問題のない結果を得られた.しかしセファロ分析での骨格診断,さらには歯列矯正等も含めて考慮すれば,今回以上の良好な結果が得られたかもしれない.今後の課題としておきたい.
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
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パール歯科医院
日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医
院長 藤田陽一
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