ワイヤー矯正で滑舌が悪くなることはある?
みなさま、こんにちは
川崎市「小島新田」駅から徒歩1分のパール歯科医院です。
当院は、歯を守りたい、健康を実現したいと願う方の歯科医院で、担当歯科医師・歯科衛生士があなたの健康をサポートいたします。
ワイヤー矯正は活舌に影響を与えるのでしょうか?
矯正治療を検討している方の中には、「ワイヤー矯正は滑舌に影響を与えるのではないか」と心配される方もいるのではないでしょうか。実際、矯正装置が口の中にあることで、滑舌に影響が出ることはあります。しかし、その影響は一時的なものであり、多くの場合は装置に慣れることで改善されます。ワイヤー矯正が滑舌に与える影響や、滑舌を改善するための方法を説明します。
目次
・矯正装置は活舌に影響する
・活舌を良くするための舌のトレーニング
・まとめ
- 矯正装置は滑舌に影響する?
矯正装置が滑舌に影響を与えるかどうかは、ブラケットと呼ばれる装置を装着する場所によって大きく異なります。一般的に矯正装置が舌や唇、頬の内側に接触すると、一時的に発音がしづらくなることがあります。特に、発音に重要な役割を果たす舌の動きが制限されると、滑舌に影響が出ることがあります。
・表側からのワイヤー矯正の場合
表側からのワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を直接貼りつけ、そこにワイヤーを通します。この装置の場合は滑舌に影響を与えにくいとされていますが、これは装置が歯の外側に取りつけられるため、舌の動きを大きく制限することが少ないからです。しかし、装置の厚みによって唇が閉じにくくなる、頬側に違和感を生じる、といったことがあります。また、装置の摩擦によってできた口内炎によって粘膜に痛みが生じ、これにより一時的に発音がしづらくなることもあります。違和感や痛みには個人差がありますが、多くの場合は装置に慣れることで滑舌の問題は徐々に改善されます。
・裏側矯正の場合
一方で裏側矯正は、表側矯正よりも滑舌に影響を与えやすいと言われています。裏側矯正は、歯の裏側にブラケットをつけ、ワイヤーを通す矯正治療方法です。特に裏側矯正は装置が舌側に取り付けられるため舌の動きが制限されやすく、発音に影響が出ることがあります。特に感覚に慣れるまでは「タ行」や「サ行」など一時的に発音がしづらくなることがあります。
- 滑舌を良くするための舌のトレーニング
矯正期間中に一時的に滑舌に影響が出ることはあるかもしれませんが、適切なトレーニングを行うことで改善することができます。ここでは、簡単にできる舌のトレーニング方法をご紹介します。
・ガムトレーニング
ガムを使ったトレーニングは、舌の筋肉を鍛えるのに効果的です。以下の手順で行ってみましょう。
- 小さなガムを口に入れて噛む。
- 噛む際に舌を動かして、ガムが歯の間に挟まらないようにする。
- しばらく噛み続けることで、舌の筋肉が鍛えられます。ガムを舌の上で転がしたり、スポット(上顎の前歯の裏側)に押しつけてつぶすなどの動きも入れていくとより効果的です。
このトレーニングを毎日行うことで、舌の動きがスムーズになり、滑舌が改善されるのです。
また、ガムトレーニングは子供の歯並びを成長とともに良くするための訓練方法としてもよく使います
・あいうべ体操
あいうべ体操は、口の周りの筋肉と舌の動きを鍛えるための体操です。以下の手順で行いましょう。
- 「あ」の音を出しながら口を大きく開ける。
- 「い」の音を出しながら口を横に広げる。
- 「う」の音を出しながら唇を突き出す。
- 「べ」の音を出しながら舌を出し、舌先をできるだけ下に向ける。
この一連の動きを1セットとして、1日に10セット行うことを目標にしましょう。あいうべ体操を続けることで口周りの筋肉と舌の動きが鍛えられ、滑舌が改善されることが期待できます。
このあいうべ体操は、普段使わない口腔周囲の筋肉や表情筋も鍛えるので呼吸がらくになったり、加齢による頬のたるみやしわが改善されるという効果もあります。
- まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、ワイヤー矯正が滑舌に影響を与えるかどうかについてご紹介しました。表側からのワイヤー矯正は滑舌に影響を与えにくい一方で、裏側矯正は舌の動きを制限するため発音に影響が出やすい傾向にあります。しかし、ほとんどのケースで装置に慣れることで徐々に改善されていきます。
また、滑舌を良くするためにはガムトレーニングやあいうべ体操などの舌のトレーニングを行うことが効果的です。これらのトレーニングを日常的に取り入れることで、滑舌が改善されることが期待できます。矯正治療を受ける際には、滑舌に影響が出ることもありますが、適切な対策を講じることで快適な治療生活を送ることができるでしょう。もし矯正治療中に滑舌の問題を感じた場合は、担当医に相談することも大切です。アドバイスを受けながら適切な対策を講じていくことで、治療の効果を最大限に引き出しつつ快適な生活を維持することが可能です。
当院ではワイヤー矯正をはじめインビザライン、予防矯正など各種矯正治療を行っております。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください
医療法人アクアマリン パール歯科医院
院長 藤田陽一
インプラント症例ブログ その4
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。
私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.口腔内の状況確認
4.治療計画
5.インプラント埋入手術
6.最終補綴(セラミック冠)の装着
7.まとめ
- はじめに
歯周病とかみ合わせの力の強さにより、歯が抜けてしまい物を噛めなくなってしまった患者様のインプラント治療についてお話させて頂きます。
2.症例紹介
咬合崩壊をおこした患者に対してインプラントを用いて咬合再構成をした症例
A case of occlusal reconstruction using an implant for a patient with occlusal collapse
年齢:58歳 男性
初診: 2016年6月8日
主訴 : 咬めるようにして欲しい 顎の左関節が痛い、音が出る
義歯は持っているが使いづらく感じる、ほぼ使っていない
歯科医院に来るのは約10年ぶり
矯正治療は希望しない
歯科恐怖症
メニエール病既往
補聴器使用
3.口腔内の状況
上記口腔内写真より
左右の奥歯でしっかり咬めない状況です。なおかつ以前、他歯科医院で治療したプラスチック歯が変色していますし、むし歯の進行もみられます。
上記レントゲン写真より
全顎にわたり歯を支える骨の吸収がみられます。歯周病が、咬み合わせ不備により加速度的に進行しています。歯根の先に膿の袋がみえる歯もあります
口腔内写真とレントゲン写真から以下問題点を考えてみました
以下さらに詳細な咬み合わせや歯の状態を調べました
下記、歯肉の精密検査です。予想通り歯周ポケットは深めで、出血してきた場所も多数あります。
緑の矢印はむし歯が発見された場所です。紫の矢印は歯根の治療が必要なところです。
4.治療計画
なるべく治療で歯を抜かないようにする予定ですが、抜歯の必要にせまられる歯がいくつかありました。
またかみ合わせと審美性の回復から、仮歯と仮義歯を治療途中で装着する事、患者様と相談しました。
以下は、全ての歯科治療の基本となる歯周病治療結果です。前回と比べ数値的にかなり良くなっています。
歯肉の状態が良くなってから右上と左下の歯を抜歯します。状況にもよりますが、歯肉の状態が良ければ、
その後の治癒も確実になります。
以下、上前歯の審美性と機能性の回復のため仮歯をいれました
その後左下奥歯2本、歯根の治療を行いました。歯根の先の膿の袋も術後6カ月で消失しました
仮歯をより審美性の高いものに置き換えて、咬み合わせの回復も目的とした仮義歯(局部床義歯)を装着しました。
以下、上記仮歯・仮義歯を用いた際のかみ合わせ(咬頭嵌合位)です。今回の症例では顎関節に症状がでているので、これの回復も目指していきます。仮義歯・仮歯はセラミックと違い耐久性はありませんが、歯の形態を簡単に変化させられるので、正しいかみ合わせを回復するのに必ず必要となります。
さらに模型を作製して咬合器というかみ合わせを精密に確認できる装置に取り付け診査します
咬合診査を歯科技工士とともに行い、理想の咬み合わせ理想の歯冠形態を模索して、以下ワックスで新しい歯の形態を作製してもらいます(診断用ワックスアップ)
診断用ワックスアップ作製時ポイントとなるのが、下顎を左右にずらした時、あたるのは犬歯のみ
また下顎を前方にずらした時、あたるのは前歯のみ(アンテリアガイダンス)というかみ合わせをつくる事です。
5.インプラント埋入手術
手術時は、インプラント埋入の位置決めをより正確にするためガイデッドサージェリーで行いました。
以下インプラント埋入後の全顎レントゲン写真と、その後インプラント上に仮歯を入れた状態でCTレントゲンを撮影、局所的に切り取ったレントゲン写真です
前後的にも左右的にも理想の位置に埋め込むことができました
顎関節の症状は時間の経過とともに回復していきました。
審美性を重視した2つ目の仮歯を経てセラミックの歯に置き換えました。
その後8年近く経過しましたが、定期的なメインテナンスのみで問題は起きていません。
6.最終補綴(セラミック冠)の装着
以下セラミックの歯が入った後のレントゲン写真です。
以下は、セラミックの歯を装着した後の口腔内写真です。
銀歯が数か所残っていますが、金属アレルギーを考えて近々セラミックに置き換える予定です。
顔貌写真も下顎のずれがなくなり自然になりました。
7.まとめ
歯の喪失の原因は,細菌と咬合力といわれている. この患者が一番最初に歯を喪失した原因も,歯根破折と考えられる.初診時歯周病の進行著しく動揺歯も複数あり,顎関節症状まででていた.まさに咬合崩壊の末期と考えられる状況である. 本症例のように遊離端欠損歯列になってしまうと,その補綴は部分床義歯かインプラントの選択肢に限られる. 部分床義歯の場合,咬合時の粘膜負担による沈み込みの他,就寝時の未装着状況等考慮すると,顎位のずれが生じやすくなってしまうと考えられる.
今回臼歯部の咬合回復が確実に可能なインプラントで補綴を行い,半調節性咬合器を用いて顎位の回復を探り,その後問題のない結果を得られた.しかしセファロ分析での骨格診断,さらには歯列矯正等も含めて考慮すれば,今回以上の良好な結果が得られたかもしれない.今後の課題としておきたい.
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
https://www.pearl-dental-clinic.net/subject/implant2/
パール歯科医院 インプラント症例について
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パール歯科医院
日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医
院長 藤田陽一
インビザラインで使用するアタッチメントとは?目的や種類を解説
みなさま、こんにちは
川崎市「小島新田」駅から徒歩1分のパール歯科医院です。
当院は、歯を守りたい、健康を実現したいと願う方の歯科医院で、担当歯科医師・歯科衛生士があなたの健康をサポートいたします。
目次
1.はじめに
2.アタッチメントとはどのような装置?
3.アタッチメントと使用する目的や役割
4.アタッチメントの素材
5.アタッチメントの種類
6.アタッチメントの装着
7.まとめ
1.はじめに
今回は、当院おすすめマウスピース矯正(インビザライン)の治療で使用されるアタッチメントについて、目的や役割、素材、種類についてご紹介します。インビザラインは透明なプラスチック製のマウスピースを装着することで歯並びや噛み合わせを整えていく治療方法です。インビザライン治療を効果的に進めるために、「アタッチメント」と呼ばれる歯の表面につける突起が必要になることがよくあります。
2.アタッチメントとはどのような装置?
アタッチメントとは、インビザライン治療でマウスピースによる歯を動かす力を最大限に引き出すために歯に装着する小さなプラスチック製突起物のことです。これらは歯の表面に直接接着されるもので、レジンと呼ばれる歯科用の樹脂素材でできています。アタッチメントは目立たないように設計されており、通常は患者様の歯の色に合わせて作られます。見た目もほとんど気になりません。また矯正治療終了後、この突起は原則除去されます。
3.アタッチメントを使用する目的や役割
インビザライン治療におけるアタッチメントの目的と役割は説明しきれませんが、主に以下の点が挙げられます。
・歯の移動を補助する
アタッチメントは、マウスピースが歯を動かす際に必要な力を歯に効率的に伝える役割を果たします。特定の方向に歯を動かす際にアタッチメントが支点となって力を加えることで、より正確な歯の移動が可能になるのです。
・複雑な歯の動きをサポートする
歯を回転させる、垂直方向に移動させるなどの複雑な動きを必要とします。アタッチメントがその動きをサポートします。これにより、針金を使わなくとも歯を動かすことができるのです。
・マウスピースの歯に対しての維持を助ける
アタッチメントは、マウスピースが歯にしっかりとフィットするように補助します。これによりマウスピースがずれたり外れたりするのを防ぎ、治療効果を高めることができます。
4.アタッチメントの素材
アタッチメントは、歯科用プラスチックであるレジンから作られています。このレジンは、むし歯治療の際に歯の削った部分に詰める材料として一般的に使用されています。アタッチメントを装着する際には専用の接着剤を用いるため、患者様自身で取り外すことはできません。歯に似た乳白色のため目立ちにくく、歯の表面に装着することに抵抗がある方でも安心して使用できます。
5.アタッチメントの種類
アタッチメントは約3~5mmの大きさで、大きく分けて二種類があります。一つは歯科医師が手作りする「通常アタッチメント」で、もう一つはインビザラインの提供元であるアライン・テクノロジー社が製造し、マウスピースに自動的に取り付けられる「最適アタッチメント」です。最適アタッチメントはさらに目的に合わせて以下のように分類されます。
・オーバーバイト用最適アタッチメント
開咬(奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯に隙間ができる)の治療に使用され、歯を引っ張り出す動きを助けます。
・ディープバイト用最適アタッチメント
過蓋咬合(深い噛み合わせ)の治療に使われ、下の前歯を引っ張り出して噛み合わせの深さを調整します。
・ルートコントロール用最適アタッチメント
正中離開(前歯の隙間)の治療など、歯の根を動かす必要がある治療に使われ、一つの歯に二つのアタッチメントを装着します。
・回転用最適アタッチメント
捻じれている歯の治療に使用され、犬歯や奥歯に貼り付けられます。
・アンカレッジ用最適アタッチメント
抜歯が必要なケースに用いられ、抜歯後の隙間を埋めるために設計されています。
6.アタッチメントの装着
アタッチメントは歯科医師によって以下のような手順で装着されます。
- 歯面清掃
まず歯の表面についたプラークや着色を清掃し、アタッチメントがしっかりと接着するように準備します。
- 接着剤の塗布
専用の接着剤を歯の表面に塗布します。
- アタッチメントの装着
接着剤が塗布された後、アタッチメントを慎重に歯の表面に装着します。位置がずれないように注意しながら行います。
④硬化
最後に、アタッチメントを特殊な光で硬化させます。これにより、アタッチメントがしっかりと固定されます。
7.まとめ
今回はマウスピース矯正インビザラインで広く用いられているアタッチメントについて、ご紹介しました。このアタッチメントを歯に取り付ける位置が大変重要になります。歯列矯正を行う場合、動かす歯は4~5本ではありません。ほぼすべての歯を動かす事が一般的です。その際長期で複雑な歯の移動をリードするアタッチメントの付着の位置決めはどうするのでしょうか。それは「クリンチェック」という、インビザラインの会社が作製したマウスピース矯正専用ソフトがあり、それにデータを送り込むことで、アタッチメントの数・位置・形態等が決まります。「クリンチェック」は過去800万症例の矯正データを蓄積しディープラーニングをしたもので、数々の特許を持ち、他社の追随を許していません。このソフトが作製した治療計画を患者様に説明した上で、患者様の希望も取り入れ微調整して完成します。インビザラインで用いる歯を動かすメゾットはアタッチメントだけではありません。ほかのメゾットについては、またの機会にお知らせしたいと思います。
インビザラインによるマウスピース矯正に興味のある方は、お気軽にお問合せ下さい。
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インプラント症例ブログ その3
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。
私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.治療計画
4.インプラント埋入手術前の準備
5.インプラント治療の詳細
6.仮歯(プロビジョナルレストレーション)でのかみ合わせの確認
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
8.かみ合わせの重要性
9.まとめ
- はじめに
今回は、インプラント治療でのかみ合わせの再構築についてお話させて頂きたいと思います。
2.症例紹介
歯の審美回復と顎関節症を治すために、かみ合わせの再構成を行った症例
(One case that I revived cuspid guided occlusion and made occlusal reconstruction)
患者:43歳 女性
主訴:以前他歯科医院でセラミック治療をしてから、かみ合わせが低くなってしまい顎の関節が痛くなり、音もし始めた。就寝時に歯ぎしりもするようになってしまった。
右下のブリッジも動揺してきて、奥歯でしっかり咬めなくなってしまった。
セラミックで奇麗な歯にしたい。
3.治療計画
かみ合わせには理想型というものがあります。
それは両側奥歯で咬み合わせて横にずらした時、ずらした側(作業側)は犬歯のみあたる。その反対側(平衡側)はあたらない。という咬合様式(犬歯誘導咬合)です。犬歯は他の歯と比べると歯の根が長くて大きい分横方向からの力に強いのです。また下顎を前方にずらした時、同じく当たるのは前歯のみ両側の奥歯は当たらないというのが、理想型です。その理由は後述します。顎関節の症状改善も含めるため、大部分の歯をやり直す治療計画をたて、失われた正しいかみ合わせを再建する方向で治療を開始しました。
ただ実際の口腔内では、歯列不正・咬耗(かみ合わせで歯が削れること)・歯周病の進行・不良補綴物・加齢などにより、理想のかみ合わせである犬歯誘導咬合は消失してしまう傾向が強いのである。本症例患者様は、審美的な希望も含めて大部分の歯の再補綴を希望している。これは犬歯誘導咬合を再構築する、またとない機会といえる。理想のかみ合わせを獲得することで残った歯の寿命が永らえることは言わずもがなである。
4.インプラント埋入手術前の準備
患者様かみ合わせの状態はというと
4本の犬歯がそれぞれ歯ぎしりで削れて背が低くなっている状態で、理想からは大分離れていました。不良なかみ合わせは就寝時の歯ぎしりや食いしばりを誘発します。その結果かみ合わせはますます悪くなり、それがさらなる歯ぎしりや食いしばりを誘発するのです。結果顎の関節にまで影響がおよんでしまうような、マイナスのスパイラルにはまり込んでいる状態といえました。下図のレントゲン写真では左下(向かって右下)にインプラントが2本入っていますが、これは前歯科医院でおこなったものです
5.インプラント治療の詳細
パール歯科医院では、現状ある歯とインプラントを長期間使用してもらうため、プラークコントロールの指導および、歯周病の治療を優先させます。初期治療の一段落後、一番気になされている右下ブリッジの支えになっている歯の精密なレントゲン写真(上図)を撮ると歯の根が割れていたことわかります。歯の周囲の骨も歯の根の炎症が原因で大きく欠損しているように診断できます。この歯は残念ですが抜歯となります。いつまでも残しておくと他の歯まで共倒れしてしまいます。抜歯後は一つ後方のもともと歯の無い所も含め2本インプラントを行う治療を予定しました
抜歯直後にCTレントゲン写真を撮影させてもらいました。抜歯した歯の顎骨の欠損が大きかったので、インプラントの埋め込み手術の前に顎の骨の再建手術を行う治療計画をお話ししました。(下図)
人工骨とコラーゲン製の膜を用いて骨の再建に成功しました。顎の横幅も足りなかったのですが、こちらも同時に回復することができました。(下図)
その後顎骨の治癒回復を待ってインプラントを予定通り2本埋め込み手術を行いました(下図)
術後のCTレントゲン写真です、横方向(頬舌方向)にも良い位置に埋め込みできました。(下図)
6.仮歯(プロビジョナルレストレーション)でのかみ合わせの確認
以前の歯科医院に通院開始時、上下前歯に隙間があったがあったとのこと、審美的に気になったので隙間をなくすように頼んだところ、奥歯を削って背を低くすることで前歯の隙間をなくしたとのこと。それ以降顎関節が徐々におかしくなったということである。奥歯特有の凹凸は削って平らになっている。(下図)
理想のかみ合わせである犬歯誘導とかみ合わせの高さ(咬合高径)を再建回復させるため、まずは奥歯から順に仮歯(プロビジョナルレストレーション)に置き換え、かみ合わせと顎関節の最適な位置を確認しました。
7.最終補綴(セラミック冠)の装着
仮歯で最適な位置関係が確認できた後順番にセラミックの歯に置き換えていきました(下図)
審美的にも十分患者様には満足していただきました。
8.かみ合わせの重要性について
犬歯誘導咬合とは、歯を咬み合わせた状態から横にずらして止めたときに、上下の奥歯には隙間が空いて犬歯だけが当たっている状態です。 犬歯誘導が行われない咬み合わせでは、奥歯に横方向からの力が強くかかってしまうことで、咬合性外傷と呼ばれる状態を引き起こします。咬合性外傷になると次のような様々な症状が出てきてしまいます。 1奥歯に亀裂が入ったり、割れたりする 2奥歯に知覚過敏や痛みが起こる 3奥歯の亀裂から細菌が入りむし歯になりやすくなる 4歯周病が進んで奥歯がグラついてくる 5顎関節症を引き起こす
このように犬歯誘導咬合ができない患者様は、奥歯の寿命が著しく短くなる傾向にあります。
セラミックの歯で犬歯誘導咬合を再建しました
右側は上下の犬歯の形態的な問題から犬歯・第一小臼歯の2本で支えることになりました
9.まとめ
今回に症例は、インプラント治療でのかみ合わせ回復を実施しました。
お口の中の状態にもよりますが、患者さん自身の本来のかみ合わせを実現するために、レントゲン写真やCTで患者さんのお口の骨の状態確認を行っております。また今回は、事前に人工骨とコラーゲン製の膜を用いて骨の再建を行い、スペース確保をすることで、より理想的な位置にインプラントを埋入することができた症例です。
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
https://www.pearl-dental-clinic.net/subject/implant2/
パール歯科医院 インプラント症例について
https://www.pearl-dental-clinic.net/case/
パール歯科医院
日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医
院長 藤田陽一
抜く親知らず、抜かない親知らず
みなさま、こんにちは
川崎市「小島新田」駅から徒歩1分のパール歯科医院です。
当院は、歯を守りたい、健康を実現したいと願う方の歯科医院で、担当歯科医師・歯科衛生士があなたの健康をサポートいたします。
目次
1.はじめに
2.親知らずとはどの歯?
3.なぜ親知らずは抜歯すべきなのか
4.残しても良い親知らず
5.抜くか残すかはどのように判断する?
6.まとめ
1.はじめに
今回は、抜歯が必要な親知らずとそうでない親知らずの違いをお話します
「親知らずは早く抜いたほうがいい」という考えをお持ちの方も多いかもしれませんが、親知らずは必ずしも抜かなければいけない歯ではないのです。抜歯の際には少なからずリスクが存在するため、徹底した検査をもとに抜くべきか残すべきかを診断する必要があります。
2.親知らずとはどの歯?
親知らずとは、前から数えて8番目の歯です。智歯ともよばれています。英語でWisdom Toothつまり物事の分別がつく年齢で生える歯というのは名前の由来です一番奥の大臼歯で、第三大臼歯が正式名称となります。親知らずは20代ごろに生えてくるのが一般的で上下左右合わせて最大4本が生えることになりますが、最近は4本全て生えないという方も稀ではありません。また、自分ではまだ親知らずは存在しないと思っていても、実は歯ぐきの中に埋まっているということもあります。また、ごくまれになりますが「親知らず」の後方に第4大臼歯ともいうべきはがある人もいます。
3.なぜ親知らずは抜歯すべきなのか
「親知らずは早めに抜いたほうがよい」というイメージが定着していることには、以下のような理由が考えられます。
・親知らずが横向きや斜めに生えていた場合、歯ブラシが届かずプラークコントロールが不十分になる。特に親知らずの周囲組織が炎症をおこす、智歯周囲炎はなかなか自然に治りません。
・むし歯や智歯周囲炎は治療をしても再発しやすい
・むし歯や智歯周囲炎を繰り返すような場合、健康な手前の歯にも影響が及ぶ事が多い
・慢性的な痛みが生じているような場合は、抜歯をしないと根本的に解決しない
・親知らずが横向きや斜めに生えている場合、親知らずが押してくることで歯並びや噛み合わせに影響が出ることがある
上記のように、既にむし歯や歯周病、智歯周囲炎になってしまっている場合は、それらが悪化する前に抜歯を勧められるケースが多くなるでしょう。
4.残しても良い親知らず
一方、必ずしも抜歯をしなくてよいケースもあります。
・親知らずが完全に生えていて、プラークコントロールが行き届いている
・親知らずが完全に骨の中に埋まっており、他の歯に悪影響を及ぼす可能性が低い
・矯正治療や歯牙移植に利用できる可能性がある
・ブリッジの支台となる歯として利用できる可能性がある
5.抜くか残すかはどのように判断する?
親知らずを抜くべきか残すべきかは、歯科医師が肉眼でお口の中を診ただけでは判別できないことが多いのです。親知らずの生え方の状態やトラブルの原因となるものの多くは、歯ぐきの中の見えない部分に潜んでいることも多いからです。したがって、レントゲン検査で詳細な情報を得ることが重要になります。安全で確実な診断をするためには、詳細な検査と的確な診断が欠かせません。具体的には、2種類のレントゲン検査を行い、親知らずの情報を得ていきます。
・2次元のレントゲン検査
一般的な歯科治療にも広く用いられている「パノラマレントゲン」と呼ばれているものです。2次元のレントゲンを代表するもので、親知らずの抜歯可否を判断する際にも必ず撮影されます。目の下から顎先までの比較的広い範囲を映しだすレントゲンで、歯や金属は白く、粘膜などは黒く映ります。なお、むし歯になっている箇所は歯が溶けて密度が下がるため、黒く映ります。パノラマレントゲンでは、親知らずが生えている向きや歯ぐきの中にあるかどうかを、おおまかに把握することができます。
・3次元のレントゲン検査
2次元のパノラマレントゲンでも、親知らずの有無そのものやおおよその生えている向きなどは分かりますが、これだけでは情報として十分ではありません。そこで必要となるのが、3次元でのレントゲン検査です。
3次元のレントゲン検査では「コーンビームCT」が用いられます。コーンビームCTとは顎と顔面の両利きに特化したCTで、医科用CTのように横になって長時間かけて撮影するようなものではなく、数十秒~数分という短時間で撮影が可能です。撮影時間が短く、撮影できる範囲も限られているため、被ばく量もごく僅かで安全性の高い装置であるといえます。
歯科用CTで撮影される画像は、3次元の立体画像であらゆる角度から対象物を見られるようになります。もし抜歯をするとなった場合には、親知らずそのものの状態はもちろんのこと、親知らずの周囲に走っている神経や血管の位置を正確に把握することも大切です。これらの解剖学的な情報を十分に得たうえで、抜歯をすべきか、保存すべきかの診断をしていきます。
6.まとめ
今回は、抜歯が必要な親知らずとそうでない親知らずの違いについてご紹介しました。一般の患者様にはその判断は難しいものと思われます。お気軽にご相談ください。
当院ではこれまで数多くの親知らずの診断・処置を手がけており、通算で1000本以上の抜歯も行っています。親知らずの処置は歯科医師の経験と技術がものを言う処置でもあるため、実際に処置を受けた患者様からは「想像より楽だった」というお声もいただいています。親知らずの診断や抜歯は、ぜひ当院にお任せください。
医療法人アクアマリン パール歯科医院
院長 藤田陽一
インプラント症例ブログ その2
川崎区にある歯医者 パール歯科医院 院長の藤田です。
私は日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医を取得しております。当院ではインプラント治療・矯正治療など自費治療に力を入れています。
今回は、当院のインプラント症例について、お話をさせて頂きます。
目次
1.はじめに
2.症例紹介
3.治療計画
4.インプラント埋入手術前の準備
5.インプラント治療の詳細
6.最終補綴(セラミック冠&ゴールド冠)の装着
7.メンテナンスと経過観察
8.まとめ
1.はじめに
両側奥歯が咬めなくなってしまった患者様のインプラント治療についてお話しさせていただきたいと思います
こちらの患者様ですが、左下奥歯と前歯が欠損しています。右下奥歯はブリッジがはいっていますが歯周病の進行で大きな動揺がでてきています。以前他歯科医院でつくった部分入れ歯を使用していましたが、どうしてもなじめず使わなくなってしまったそうです。その結果右側ばかりを使うようになり今度は右側も問題がおきてしまいました。
2.症例紹介
下顎左右遊離端欠損部ならびに左下前歯部中間欠損部にインプラント補綴を行った一症例
患者:65歳 女性
初診: 2015年1月18日
主訴:奥歯で咬めないので,インプラントをいれてしっかり咬めるように
したい.
既往歴:特記事項なし
現病歴:下顎左側臼歯欠損部は,以前義歯作製するも使用感の悪さで
使用できなかった.下顎右側臼歯部ブリッジの動揺も気になり来院.
現症:なし
全身所見 :特記事項なし口腔内所見:特記事項なし
診断名 :32,36,37欠損
歯周病 STAGEⅢ GRADE C
3.治療計画
右側一番奥の大臼歯は歯周病で、顎の骨から分離している状態でした。その手前のブリッジの支えの小臼歯も銀歯の下でむし歯の進行が著しいため抜歯となりました。また左下銀歯の小臼歯は歯の根が割れていました。左右奥歯のかみ合わせに不均衡があり、しかも前歯もかみ合わせが悪いと加速度的に奥の歯にダメージが加わり次々と歯を喪失してしまいます。その典型的な症例です。
インプラント治療の前段階として、歯周病治療が行われます。歯周病検査の結果は割愛させていただきましたが、他にもかみ合わせの検査等、事前の準備はインプラントの長期的予後を考えるととても大事なものになってきます。
4.インプラント埋入手術前の準備
右下のブリッジ抜歯した後、顎骨の状態を精査するためCTレントゲン写真を撮影しました。撮ったCTに実際埋入するインプラントを重ね合わせてみました。CTを撮ると、通常のレントゲン写真ではわからない情報を数多く得る事ができ、より安全にインプラントの埋め込み手術ができるようになります。下顎の中には太い動脈や神経が走っています。ここをインプラント埋め込み手術時に傷つけてしまうと、後々の治りに時間がかかってしまうこともあるのです。同じくCTだと横方向の骨の厚みも一目瞭然になります。今回の場合前歯の骨の厚みが十分ではありません。
5.インプラント治療の詳細
今回はスプリットクレストという特殊な技法を併用した手術を行いました。
CTで得た情報をコンピューターで解析して、インプラントを埋め込む最適な位置・方向性・深さ等をコンピューター上で決定します。そのデータをもとに、インプラントドリルの入る穴をあけたサージカルテンプレートをコンピューター制御の機械で作製します。この技術はこの10年程度で飛躍的に向上しました。インプラント手術が、より安全正確に行われることが可能になったのです。
インプラントの埋め込み手術です。従来の方法と比べて半分程度の手術時間で可能になりました
インプラント埋入手術直後のレントゲン写真です。埋入位置・深さ・方向性とも理想的です
もちろん顎の骨の中にある動脈や神経を傷つけることはありません
同じくインプラント埋入手術後のCTレントゲンです。術前のシュミレーションと同じ位置に埋め込まれています。前歯部(左から4枚目)もスプリットコントロールが上手くいって理想の位置に埋められました。
その後のインプラントの頭出し(2次オペ)と型どりです
6.最終補綴(セラミック冠&ゴールド冠)の装着
埋め込んだ7本のインプラントの上にはセラミックの歯が載りました。また上の奥歯にはゴールドのクラウンが3本入りました。前歯のかみ合わせが切端咬合といって上下歯の先端であたっている難しいかみ合わせをしています。定期的なメインテナンスの度に全体的なかみ合わせを確認していく必要性があると考えています
7.メンテナンスと経過観察
現状咀嚼・審美について患者は満足している状態である今後長期的予後を観察していく必要があると考える
3カ月に一度のメインテナンスで術後管理を行っており,患者は欠かさず通院してくれている. その後インプラント周囲骨の異常所見,インプラント周囲組織の炎症所見は認めず良好に機能している.
9.まとめ
今回の症例では、65歳女性下顎左右遊離端欠損部ならびに左下前歯部中間欠損部にインプラント治療を実施しました。
インプラント埋入位置・深度については、解剖学的要素や骨造成・咬合関係などにより決定され,それは大変センシチブなものである、フリーハンドでは困難な症例でも,サージカルガイドを用いる事で簡単に短時間で埋入手術が可能であり,またそれにより不自然な上部構造形態も避けられるものと考えられる. それと同時にインプラントを用いることで,残存歯へ咬合負担の軽減をはかることができる。
バーティカルストップがほぼ得られず、前歯部反対咬合であれば残存歯へかかるパラファンクションは,数値化できるものではないが,いかほどであろうか. 口腔内を通じての患者へのクオリティーオブライフの向上に寄与できたものと考える
パール歯科医院では、患者様が安心してインプラント治療を受けられるよう、安全性に重きを置いて治療を行っています。これまでに多数の症例を扱ってきた実績もございますので、治療方法や費用についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
パール歯科医院 インプラント治療7つのこだわりについて
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パール歯科医院 インプラント症例について
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日本口腔インプラント学会 認定インプラント専門医
院長 藤田陽一
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